7éme

2024/01/22(月)
群大病院に限った話ではないけど、入院時の下着やパジャマなどの用意を病院側がまかなうサービスがある。ここ群大病院の整形外科に限ると、ほとんどの患者が利用している。毎日何度も代えられるこのパジャマ(とゆーかスウェット)は、上が黄色で下が青色。男女とも同じ色、そして同じデザインだ。

患者というのは、乱れてしまった心身を元に戻す為に病院へ行き、不調に耐えながら治療を受ける日々を送る。シャワーも良いけど、やはりベッドに身を預ける時に安らぎを得ることができる。身体を締め付けず、着脱が容易で、リラックスできるとゆー点では、これ以上は無いと言っていい服装だと言える。でもさ、

私が持ち込んだ自前のパジャマと違い、部屋着として着用しても良さそうなデザインだからか、患者達はベッドから出ても着替えることはなく、丸一日、病棟の廊下はもちろん、1階のローソンやカフェテリアでも、一般外来の人達に混ざって往来している。
整形外科病棟に限らないと思うが、あっちもこっちも黄色と青色の、オトコもオンナも、ジーさんもバーさんもおんなじ格好で「ここは収容所?」

昨年5月9日の怪我に始まり、主治医の先生と二人で年明けの手術に向けた中、入院中も通常生活と変わらない日々を送ろうと心に決めていた。
手術が終わった17日の夕方以降、常に装具を装着していなければならない日々が1ヶ月続く。朝6時に病室の照明が点き、私は装具を付けた身体を慎重に起こし、電気ケトルのスイッチを入れる。ベッドメイキングをして、音波歯ブラシで歯を磨き、顔を洗う。髭を剃り、脱いだパジャマを畳んで衣装ケースに仕舞う。左腕は使えないので、すべて右だけの作業だ。
体温、血圧、血中酸素濃度を計る。飲んだ薬の確認、トイレの回数、痛みや症状の問診、予定している検査等、日々代わる担当看護師さんとの打ち合わせ。
8時頃、各ベッドに朝食が運ばれるのを眺める私にクラークの人が書類を持ってくる。看護助手さんが身の廻りを整えに来てくれる。
これら午前中のやりとりで、私がパジャマで居るのは有り得ない。座る時は備え付けの椅子であり、私はベッドに腰掛けないから、夜の就寝までシワも寄らない状態を保っている。

午後は1階のリハビリテーションで装具を外し、担当の理学療法士さんと談笑しながらリハビリをする。
夕方、ソーシャルワーカーの担当さんと転院の打ち合わせ。
17時半からシャワーと洗濯
19時、食堂でソロディナー
NHKのニュースを観る
部屋に戻ると、他の患者さんは既に就寝。
コーヒーを淹れて今、これを書いている。

21時12分
今日の担当看護師さんが様子を見に寄ってくれた。
看護師さん「オナベタさん、痛みはどうですか」
私「あ、ここ座ってください」
看護師さん「いやいやいや(笑)」
私「いいからいいから」
私は椅子を差し出す。
看護師さん「手、見せてください」
私「揉んでくれるンですか?ありがとうございます!」
違う違う!と笑いながら、看護師さんは私の両手を取って揉み始めてくれるので、私はYさんの思い出を語る。

今日、向かいのベッドに居た患者さんが退院した。ご家族が迎えに来てくれるはずだったが、家族全員がインフルエンザにかかってしまったと連絡があり、患者さんは一人、タクシーで帰る事に。
私は荷物を手に取り、二人でエレベーターへ向かう。正面入口のロータリーでタクシーが一台。私は右手を差し出し、握手を求めながらサヨナラを言うと、
患者さん「あの、これ、取っといて」
私「いやいや(笑)」
患者さん「コレでさ、なんか飲んで」
私「ほらほら、運転手さんが笑ってるからさ、それチップにしなよ」
私は固辞しながら手を振ったのだった。
・・・・・・・・・・
せっかく退院なのに「まだココに居たい」とか言って笑ってたよね。
好きな焼酎呑めるしサ、
すぐ元の生活になるさぁ

あの時差し出した60円は
きっとどこかで役に立つと思うよ!