La Bretagne (憧憬の地ブルターニュ) Prologue

 

フランス料理は芸術だとか美に例えられたりするんだけど、

それは皿の上に広がる “映(ば)える”盛り付けと驚きの味、なにより芸術の国フランスの料理だからだと考えられる。

私はフランス料理を作っているんだけど、芸術という感覚でフランス料理を見たことは一度も無い。ただ、フランス料理も芸術も「文化」であり、私の脳の中ではそういう意味で “同じ" だと認識している。要するに「食い物は芸術ではない」のだ。

そういう私は純粋に美術がおもしろい。新型コロナウイルスに悩まされる以前は、東京へ行く用事は大半が美術展だった。作家の生涯、謎めいた作品、称賛と栄光の影に潜む批判の渦。それらがないまぜになり、紐解くには2時間の鑑賞では到底足らない。図録は必須アイテム。ただ、、

実物と写真は明らかに別物。絵画の場合、額装から外された様相で図録に掲載される。美術展では当時の彫り師による額に収まった絵を観る魅力があるし、手のひらサイズの作品から数メートルの大きい作品まで、手を伸ばせば触れることができる距離まで目を寄せることが可能だ。鑑賞者を選ぶこともなくそこに在るのは、国内外の美術館、所有者の協力、そして主催者による。これら作品群を少額で鑑賞できるなんてめちゃくちゃコスパが良い。企画展というのは、作品をその場で観られるのはもちろんだが、作家と時代背景の理解を主催者は教えてくれる。

2月になり、上野の国立西洋美術館で18世紀から20世紀初頭にかけての作品が集まるというのを知って、

リラダンに来店する皆様に周知してもらおうと私が事務局に電話をしたのが始まりだった。そこでたまたま電話に出ていただいた方がエヌアンドエー株式会社の専務である秋岡氏だった。めったに電話に出ないのだと笑う氏のお声が聞けた私は幸運だった。私に興味をお持ちくださり、ありがたいご縁を頂戴したのである。美術展なんて何年振りだろう。昨年2022年の5月くらいからは、横浜や等々力、麻布のギャラリーなど、交通機関は使わずクルマで出かけたりはしたのだが、目的以外は寄り道せずに高崎へ戻る。そういうローリスク対策は現在も続けている。

次回から、本展を観てきた私が作品を紐解いてみようと思う。

ゾウさんを描かせたら新種の生き物になっちゃう私だけど、、

 

つづく