「ケーキセット」に物申す

クリスマス用のアレンジメントで夕方、花扇のKさんに来てもらった。

 

 Kさん:「それはそうと、、」

 

 私:「あ、これなんです」

 

私は元気の無いガジュマルをKさんにお見せする。

 

 私:「どんどん葉っぱが減っていくんです。もうだめかも。不安~」

 

 Kさん:「でも新芽が出てる」

 

 私:「え?どこどこ?」

 

 Kさん:「ここと、、ほらここにも」

 

え?コレが新芽? 小さっ

 

 Kさん:「ちょっと枝切りますね」

 

Kさんは車に戻り、トレーとハサミを持ってくる。ガジュマルの散髪ならぬ散枝をしてくれる。スッキリサッパリしてくれた。

 

 Kさん:「水は週に一回、下から出てくる位あげて。あとは葉っぱにうるおい。女性と一緒 ♪ 」

 

 私:「がんばります ♪ 」

 

Kさん、ありがとうございましたぁ

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フランスに限った話ではないが、食後のコーヒーはデザートが終わってからである。これ鉄則。本当はそうなのだが、、

ケーキセットなんだよね。特に群馬県は。主菜が終わり、テーブルをキレイにし、デセール(デザート)のカトラリーをセットする。そして、リラダンのタルト・タタンをお持ちした私はお客様に、

 

 私:「みなかみ町の鈴木りんご園のフジです。お試しください」

 

そう言って下がってくる私だが、お客様は手を付けない。あぁまたか(溜息)。結局、食後のお飲み物を用意してテーブルへ運ぶと、さあ食べよう、となる。19年目に入るリラダンだが、こればかりはさすがに心が折れそうになる。コーヒーや紅茶、カフェラテを飲みながらケーキを食べたい。その気持ちは解る。私も日本人なんで。でもそれはあくまでも日本茶と和菓子の世界。フランスではガトー(お菓子)はガトーを愉しみ、キャフェ(コーヒー)はキャフェを愉しむので、もしデザートと一緒に出したら「え?なんで今コーヒー?私は今から目の前にあるスイーツをゆっくり楽しむのよ?コーヒー冷めちゃうじゃないの。デセールが終わってから持ってきなさいよ(怒) 」とクレームがくるのは必至。

カフェ(店)だったらデザートとコーヒーをセットで食しても問題ない。だが、レストランでは食後のお飲み物はデザートが終わってからです。どうしてそうしなければいけないの?という声が聞こえてきそうだが、理由は "それが社交界の習わし" だからである。首脳晩餐会もしかり、皇室もしかり。そういう場とレストランという場は、まったく同じ社交場なんです。グランメゾン東京でもそうだったでしょ?

そんなのカンケー無ぇ、オレはいつもセットなんだよ!と反論する人は野良犬と同じ。しつけのある犬はできるけど、野良犬はできないから。

 

オレ言い過ぎ?

 

デザートが終わり、テーブルの上はきれいに片付けられて、コーヒーや紅茶が運ばれてくる。。どうよ!エレガントでしょ?素敵なマダムだと思いますよ。甘いもの食べながら片手で茶を飲むなんて未就学児みたいでカッコ悪っ。

 

オレ言い過ぎ?←苦笑

 

日本人とフランス人の違い、という話ではない。日本で昔から存在する "ケーキセット文化” が、理解の邪魔をしているのである。

 

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結論。リラダンでは、お客様のご様子を見て食後のお飲み物をお出ししています。飲み物が来るのを待ってるな、と感じたらすぐご用意しています。なにゆえ、大半の方々がケーキセット派なので。判断せずにすぐお出しすることが日常となっております。この基本知ってるなと感じた時は、こちらから「後にしますか?」とお尋ねする場合があります。もちろん「飲み物はデザートが終わった後にしてね」とお申し付けください。あ、それと、、

デザートと一緒にすぐ飲み物が出てこなかったとしても、忘れてるワケではないので、どうかご理解くださいませ。あ、それともうひとつ。

 

ご注文時に食後の飲み物を「先持ってきて」と申される人がおられるが、僭越ながら、レストランではお控え召されよ。ならぬならぬ!と申すなら、ご自宅にてなされますよう、恐れながら申し上げまする。

 

つづく