フランス本国ではメニューのことをキャルトといい、コース料理のことをムニュという。
昔の話で、
日本人客:「メニューをください」
フランス人店員:「わかりました」
そしたらコース料理が次々と運ばれてきた。。という笑い話。
と、ここで仏語の発音を解説したい。実はフランス語でいう「Ca」は"カ"と発音せずに"キャ"と発声する。
例えばコーヒーをカフェと発音することはなく、フランス人は"キャフェ"と発音する。だから
アラカルトではなく"アラキャルト"と聞こえる。アラキャルトとは「メニューブックから(選ぶ)」という意味。
カフェオレではなくキャフェオレ、鴨(Canard)はカナールではなく"キャナール"と発声。
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フランスでメニューを見せて欲しい時は「キャルトをお願いします」と言い、
コース料理を注文したい場合は「ムニュをお願いします」となる。
「プリフィクス」というのがある。ずいぶん前からフランスで流行したお得感のあるシステムだ。
いくつかある前菜の中から好きなものを選んで、いくつかある主菜の中から好きなものを選べて、
しかも料金は一律同額、というもの。でもここ日本では少々ズルいことがまかり通っている。例えば、
前菜6品から選べると書いてあっても、3番から6番はプラス料金が発生し、主菜5品から好きなものを
選べると書いてあっても、定額なのは1番のチキンだけで、2番から下は追加料金がかかる。
私:「それはプリフィクスじゃない」←笑
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ムニュ・デギュスタシオン(Menu Dégustation)というものがある。これは"味見コース"といって
その店の得意とする料理やお勧め料理、シェフのスペシャリテなどを少量多皿でコース仕立てに
してある。初めて来店したお客に店を知ってもらう、いわば一度の来店で全てを味わう。
もしメニュー表に無くても「ムニュ・デギュスタシオンありますか?」と尋ねれば作ってくれる。
あ、これはフランスの場合だけど。
海外から人が集まってくる店や、ビストロのシェフなどが「全て試してほしい」という理由から
ムニュ・デギュスタシオンをメニューに載せていたりする。
一生に何度来られるかわからない。
次来るのは数年後かもしれない。
予約が半年先まで埋まっててやっと予約できた。
そんなグランメゾンでは、元々用意しているコースがシェフのスペシャリテで構成されている
ので、悩まずとも黙って座ってれば魅力的な皿が次々と提供されるので迷うことはない。
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さて、ここからは「リラダンの場合はどーなの?」という話。
リラダンではムニュ・デギュスタシオンは無い。
基本、通ってもらうことが前提だからだ。とはいえ一回来ておわり、というお客さんも多い。
まぁいろんな理由がある。おいしくなかったとか魅力がなかったとか。
話がそれた。
リラダンは日常使いフランス料理店だからいつ来店してもいつもの料理が有る。
「今日はどっちにしようかな」
「コレを食べに来た」
「私はいつもこれしか食べない」
そういうお客様を大切にしたいから、一年中同じ料理を仕込んでいる。
同じ料理を作り続ける魅力。それは新しい発見があるから昔よりおいしくなる。
どうすればおいしくなるのかが解るから、おもしろい。
同じモン作ってても全く飽きないね。
つづく