12ème:「美しいスペイン女」

10月22日。

晴天。日中は暑い位だったが夕方になって少し寒くなった。革ジャンを羽織ってちょうどいい。

大きな仕事がいくつか終わったので、久し振りの健康診断に行った。いろいろ調べてもらった。

AST 17、ALT 12、r-GT 17、T-Bil 0.70、UA 4.1、BUN 14.9、CRE 0.78、Glu 91。

要するに、肝臓、腎臓、血糖、尿酸などの数値は"異常無シ”。毎日あんなに呑んでるのに、、

ここ2ヶ月で体重が5キロ以上減ったからか、デニムのサイズは2インチ下がり、靴もゆるい。ふとももは一番太い場所でも両手の指が付くし、なによりハラが凹んで皮膚に若干シワが寄っている。でも身体は特に不調を感じない。以前無かった食欲が少し出てきて、毎朝ハラが減るようになったのは良い変化なのかもしれない。なにしろ夜食べない日が増えたのだが、それとは逆に、ランチ営業が終わったあと、ワインと生ハムを手にする日が増えたのが今回の好結果につながっているのかは定かではない。

午後は耳鼻科だ。古川先生にその後の経過を診てもらった。気温が下がってきたからか、朝ベッドで鼻に違和感が有って、

 先生:「異常無いよ。大丈夫」

 私:「気のせいでしたか」

帰りに痰を切る薬を処方してもらう。「もう来なくていいよ」と言われ、喜んでいいのになんだか残念な気分(苦笑)。先生と話が出来なくなるからかもしれない。本当に良い先生なのだ。

・・・・・・・

ニューヨークで描かれた「美しいスペイン女」。想像だけで描いてる。すごい。でも、、

私に言わせると、調理する際も、想像力が無いと完成度は限りなく低くなるものだ。ミクロの世界まで想像して、鍋の中を想像して、オーヴンの中を想像して、包まれた中身の状態を予想する。だから私は基本、竹串や金串で刺したりしない。

何度も何度も蓋を開けちゃうと、せっかくよい状態になってる中身に外気が入り込む。温度は下がるし、再び温度が上がるまで時間を使うし、だからといって中身が焦げちゃったら意味が無いから、心配になって覗いちゃう。あ、私のことではない。

想像力が重要なのはフランス料理にも言えるのである。肉やお菓子をクペ(包丁で切る)する時、手に伝わる感触で

 私:「これは絶対旨いに決まってる」

歳取るといいことあるな~としみじみ思う。だから、ここ1、2年前から、

私はあまり“味見”をしなくなったのである。これは決して怠慢ではない。味見をしなくてもキュイエールに付くソースを見て、香りを嗅いで、トロミを見る。ただし、少しでも不安が有れば舌で確認する。味見の回数が激減して、かなり仕事がラクになった。

そう思うと、フジタが米国に居ながらパリの風景を描けるのが、それほど不思議に思わないのである。

 

つづく