4éme:「すぐ戻ります“蚤の市”」

蚤の市、愉しいよね~

日本のガレージセールはまったく興味が無い。私が魅力に思うのはやはりフランスのだ。クリニャンクールは端から端まで徒歩で回るのは相当疲れる。真ん中あたりにATMや両替所がある。私が訪れたのは11月の後半だったので、寒くて、素手で歩くと手が切れそうなほどで、本革の手袋が欲しくて値段交渉。着地点が定まらず、話は実らなかった。今思えば買ってしまえばよかった。

次に立ち寄る絵画店でしばらく品定めをし、じっと観る。

 私:「ジュ ルヴィアン。トゥードゥ スイット」

 店主:「ダコー」

当時のフランスは欧州統合へ向かうEC共同体。通貨はまだフラン(Flanc)で、1フラン25円の時代。

私はATMへ早足で向かう。オレが買うから他の人に売らないでよ。そういう意味が含まれている。だが作品の「JE REVIENS DE SUITE」と書かれた紙がぶら下がっているのは"(今メシ食ってるから)すぐ戻ります”という無人の店舗にかけられた店主の言葉だと推察される。

余談だが、私が在仏時、シャンブル・ドットを営むフランス人の友人から「家具のオークションあるけど一緒に行く?」と誘われ、プジョーのミニバンでトゥールーズへ向かった。私はただの付き添い。

到着した会場は体育館のような倉庫。入るとすでに来場者で一杯。それを取り囲むように周りはタンスなどの大きな家具が隙間なく並べられ、すべてに番号札が貼ってある。

驚いたのは、大半の家具がガラクタ。だって、取っ手が無くなっていたり、破損があったり。おいおい、コレ買ってどーすんだよ。。

競売が始まった。マイクを持った人が番号を読み上げると参加者達は一斉にそちらを向く。そして売れていく、、

友人はベッドを落札。車に積み込むのを私も手伝う。

 私:「このベッド、ちょっと壊れてない?」

 友人:「もちろん直すョ♪」

訊けば、それを前提でみんな買いに来るという。「フランス人、スゴい」ってホントに思った。この友人は自宅のピシーヌ(プール)も自分で修理する。私が「いつ直るの?」と訊けば、「さァて、わからない。いつだろうねぇ」とのんびり笑う。

その後、昼食へ向かう。ラ・カーヴ・ド・ラ・マレシャルという穴場的レストランへ。受け付けで料金を支払って、地下へ。そこは前菜はバイキングでおかわり自由。主菜の肉か魚をチョイス、デザートはオプション、赤と白のワインは呑み放題。安かったしおいしいし、それはもう大変な繁盛振りで。日本に帰ったら真似したい!って思ったものだ。

・・・・・・・

「すぐ戻ります “蚤の市”」。フジタ70歳の作品。ガラクタを積み上げた様相は、私が20年前に訪れたクリニャンクールと変わらない。おそらく今もこんな感じではないだろうか。

美学を論じる絵画というよりは「わーすごいいいね!」って思ってしまう作品。フジタ作とかそういうのではなく、写実的で、個性とかじゃなくて、見入ってしまう絵。フジタのサインが入ってなかったら「誰の絵だろう」「作者が知りたいなぁ」って思う絵。

 

 料理も

そういうのがいい。

 

つづく