7ème「アブサント酒“テルミニュス”」 

そもそも私は嘘をつけないタチだ。事実は曲げずに話す。それが良いのか悪いのかというと、結果は後者となることがしばしばある。

ウソヲツケルニンゲンニ、ワタシハナリタイ。ウソをつく方が万事うまくいくと私は思う。立場が逆の時、むしろウソをついて欲しいと思うかもしれないし。といっても、私はやっぱりウソのつけない星の下に生まれ、、

人にウソがつけないから自分にもウソがつけない。そんな私は、心の持ちようを模索する日々が続いている。ただ、、

これといった取柄は無い私だが、こうと決めたらそれに徹することができる。

ポジティブシンキングでいかないと負けそうになる。

リカール呑みたい・・

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フランスでの正式名はアブサント(Absinthe)だが、私はアブサンと呼んでいる。この酒はこの時代、幻覚を引き起こすと言われて製造を規制されたり禁止されたりした。現代では製法を変えて、味を似せたパスティスという名で流通している。アルコール度数は高く、私の愛飲するリカールは45度である。この無色透明である液体を、氷を詰めたカールスバーグのトールグラスに半量注ぎ、冷やした浄水をたっぷりと注ぐと魔法のように色が黄色く白濁する。バースプーンで手早くステアすれば完成だ。このステアする時の「カラカラ」という音を聞けば、おそらく、昏睡状態で意識を失った私でも目が覚めるだろう。それでも覚醒しなければ、点滴液にリカールを混ぜてくれれば、、

意識的に笑ってないと自分がどうにかなっちゃいそうだ。

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1898年、アフィッシュ・カミ(Affiche Camis)によるアブサンのポスター。シラノ・ド・ベルジュラックに扮した俳優が手に持つグラスには、どうやら原液のテルミニュスが注がれている。サラの持つボトルはかなり大きく見え、1リットル入りなのだろうか。このような"広告”という手法は、商品だけでなく、自分も売り込むことができるとサラは気が付く。

広告収入はサラをどんどん裕福にしていくのだが、のちに、息子による借金の返済に充てることになるのである。

 

つづく